プロローグ:悪意の紅い石 小説置き場らしいですぜ(何 に戻る→
夜の闇。それは全てを覆いつくすかのように、深く黒い。
しかし、その闇に負けまいとするかのように、星々が、そして月が明るく夜空を照らす。
闇があるから光は輝ける。そんな言葉が夜、空を見上げるとしみじみと本当だなあ、と思えてくる。
闇と光の織り成す星空。まるで宝石箱のようで、いつまでも眺めていたくなる。
しかし、『いつまでも』というわけにはいかない。夜はやがて終わり、夜が終われば朝がくる。
夜とは、短くはかなく、そして美しい、まさしく一睡の夢のようなもの。そして普通は、静かに空に星と月が輝き、やがては、夜の黒が橙へ、
そして今度は青へと、ゆっくりと、そして着実に空が色を変えていく。
だが、この日は『普通』ではなかった。
夜明け前のプププランドの上空、雲の上のとある一角に突如、"穴"が開いた。
不思議な、星型の穴だ。穴の奥には青い空間が広がっている。
その穴から、一つの人影が飛び出してきた。
???「いててて・・・なんなんだ、今のは!」
声から察するに男のようだが、どうやら尻餅をついてしまったようだ。
そしてそれとほぼ同時に、男の背中側に開いていた"穴"はあっという間に消えてしまった。男はそれには気づいていない。
???「全く、これからこの俺様の帝国を築こうというのに!」
そう言いながら、男は懐から一つの石をとりだした。血のように紅い、真紅に輝く石だ。
???「よかった、石はなんともないようだな。しかし・・・おお・・・やはり美しい・・・。」
男は石を見つめ、しみじみといったように言葉をもらす。
???「長年探し続け、やっと手に入れたこの『帝王石』・・・これが、この石さえあればっ!
俺様は、全世界を・・・いや、全宇宙を支配できるのだ!ガハハハハハハハ!」
男が笑い出すとともに、世界が明るくなり出す。夜が明けたのだ。
???「む?あんなところに城が・・・人がいるかもしれんな。ここがどこだか知らんが、まずは小手調べだ。
この俺様の最初の下僕になるのだからな、光栄なもんだ!ガハハハハハハハ!」
男はそこから立ち去って行く。
そして、遠くからは微かにエンジンの排気音が聞こえ出す。
"狂気"の復活が、近づいていた。