第4話:Game of Crazy 小説置き場らしいですぜ(何 に戻る→
クラ「狂気…やっぱり、ろくでもねぇ奴だったか…。」
黒い球体――キョウがそう名乗った瞬間、クラはより警戒心を強める。
ミナ「狂気…?」
ミナも警戒心を強めてはいたが、軽い驚きも顔に出していた。普段冷静な彼女にしては少し珍しいことである。
それに気づいたクラが尋ねる。
クラ「ん?ミナ、何か知ってんのか?」
ミナ「ああ。といっても少しだけだがな。カンがまだこの世界に来たばかりの頃、急に実体化して現れた存在らしい。」
キョウ「おや、カン、てっきり君のことだから誰にも言ってないか、全員に言ってあるかのどちらかだと思っていたよ。」
クラ「…おい、そんな話聞いてないぞ。」
クラがカンに向けて少し不満そうな視線をぶつける。
カン「え、その、えっと…あんれ?み、ミナにその話したっけ?」
視線をぶつけられ、やや混乱しながら首をかしげるカンに、
アルメス「あ、ごめん、勝手に言っちゃった。」
アルメスが相変わらずの緊張感の無い口調でしれっとそんなことを言った。
カン「えー!内緒にしとこうって言ったじゃん!」
アルメス「いやさ、何というか、ミナには何か隠してるな~ってぐらいにはバレてたみたいでさ。」
カン「いやいや、何か隠してるな~ってぐらいバレてたからって全部言わなくていいじゃん!黙ってればいいだけじゃん!」
ミナ「すまない、カン。我が無理を言って話してもらったのだ。アルメス殿に非はない。」
カンは抗議したが、ミナにそう言って謝られたので、
カン「ん…まあ、しょうがないか。過ぎたことだし。どうせ今こうしてバレてて、ミナのお陰で話が早くなったし、よしとするか。」
あっさりと許した。
キョウ「ククク、そうだねぇ、私としても、話が早くなって助かったよ。じゃあ、私が何者か理解してもらえたところで…楽しいゲームを始めようじゃないか。」
クラ「…ゲーム?」
キョウの発言に、クラが訝る。
キョウ「そうさ、ゲームだよ。楽しい楽しい、私と君達との勝負さ。ルールは簡単。私がこのポップスターのいくつかの地点に私の手駒を置く。君達はそれらを全て倒し、最後に私のところに来る。そしてそこで、この私と直接対決する、というわけさ。どうだ、楽しそうだろう?ククク…!」
キョウが言葉通り心底楽しそうに言った。
クラ「…もし、やらなかったらどうするつもりだ?」
油断なく睨み付けながらもクラが問う。
キョウ「おやおや、大体予想はついてるんじゃないのかね?」
その問いに、キョウは小馬鹿にしたように問い返す。
ミナ「その手駒とやらを使って、ポップスターを侵略する…といったところか?」
少しムッとしたクラの代わりに、ミナがそう答えた。
キョウ「ククク、半分は正解だねぇ。さすがに私でも、五望星三人ぐらいと互角に渡り合うのがせいぜいだ。だから本気で侵略しようとは思っていないよ。ただ、一度五望星とは戦ってみたいから、幾つかの地域を壊滅させて、彼らを煽ってみたりはするだろうねぇ。」
クラ「…てめえ、ふざけやがって…!」
クラが尋常でない敵意を向けるが、それをまるで意に介さないようにキョウは続ける。
キョウ「さあ、カン。どうする?この提案に乗ってくれるかね?」
クラ「ざっけんな!そんな提案に乗るわけが」
咄嗟にクラが拒否しようとしたが、
カン「…よし、その提案、乗った。」
カンのその一言がそれを遮り、
ミナ「だろうな。」
アルメス「だろうね。」
直後、ミナとアルメスが同時にほぼ同じことを言った。